その一つが、日本の「紙」文化。
原料の楮(こうぞ)を雪にさらすことで、出来上がりの紙が白くなる。染料を使わないため、経年劣化の黄ばみが少ない。(出展:Colocal) |
紙の歴史は、紀元後105年に中国で紙が発明されたところから始まる。ちょうど日本では、邪馬台国の卑弥呼が女王になった頃。
それまでも書写材料として、紀元前3,000年にはメソポタミアで粘土板が、 その後もエジプトでパピルス(原料:水草)や、ヨーロッパで羊皮紙(原料:羊や仔牛の皮)が使われていたものの、
紙(原料の麻や樹皮を煮炊きして繊維を取り出し、乾かしたもの)を発明したのは中国。
中国と地理的に近い日本では、610年に製紙法が伝わった。
(出展: 紙と印刷の専門商社 紙藤原HP)
(出展: 紙の博物館)
この製紙法がヨーロッパに伝わるのは、日本より500年以上遅れた1100年以降。
この間、日本で紙は戸籍用紙や公文書、写経などに使われるだけでなく、
独自の製法で作った「和紙」が発達し、うちわや行灯、障子や傘など幅広く使われるようになっていった。
和紙は洋紙に比べ、原料の繊維が太く長いため強度が高く、保存性にも優れているため1000年以上の保存実績があるのだそうな。 (出展: 和紙と洋紙の違い 小津和紙)
そしてこの和紙を通した、柔らかな拡散光を使いこなしてきた日本人。
例えば、障子。
日本三大庭園のひとつ 水戸の偕楽園 |
ヨーロッパでは、明かりは主にろうそくで、自然光は家の上部の窓から取り入れるのが一般的。
このような家の造り、明かりの取り入れ方の違いは、戦争の仕方の違いから来ているのだそう。
ヨーロッパの侵略戦争では「皆殺し」により領土を奪い合う。
そのため、家の作りは一般人の家でも頑丈で、扉が固く閉まり、窓は人の侵入を防ぐため家の上部に配置され、明かりは上から下に降り注ぐ形で取り入れる。
イギリスコッツウォルズ地方に残る典型的家屋 (写真出展: muji net) |
一方、日本の戦争は殿様の首を落とすことに主眼を置き、農耕民などの民衆は基本的に殺戮しない。
そのため、ヨーロッパの激しい内戦、宗教戦争に比べると、日本の内戦での死者はヨーロッパに比べ桁違いに少ない。
そのような戦争スタイルの違いが、壁に囲まれず、城壁のない都市や、ウチとソトを曖昧にした開放的な家の造りを可能にしたという。
(参考: クールジャパン blog)
※もちろん、家の造りの違いは気候の差を反映している部分もあるので、全てが戦争スタイルの差から来ているとは限らない。
東京国立博物館の庭園にある九条館 (写真出展: muji net) |
和紙を使った障子で、柔らかな光を家に取り入れる文化、とても素敵。
富山県の五箇山では、世界遺産にも登録されている合掌造りの家で、今も伝統的な和紙づくりが行われているという。
訪れてみたいところが増えました。
富山県 五箇山 合掌造りの家 (世界遺産) |
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